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 前立腺がんの検診について(PSA検査ほか)

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PSA(ピーエスエー)検査は前立腺がんを発見するための血液検査です

 

 PSA検査は、前立腺がんを早期に発見するのに有用な血液検査で、PSA値が高いほど前立腺がんの疑いが強くなります。PSAとは、前立腺で特異的に作られるたんぱく質の一種で、健康な人の血液中にも存在します。しかし、前立腺がんになると血液中に流出するPSAが増加するため、早期発見のための検査として用いることができます。

PSA検査はごく少量の血液があれば測定が可能で、通常の血液検査と合わせて簡単に行うことができます。

前立腺がんは、早期に発見して適切に治療すれば完治の可能性が高くなります。とくに、50歳を過ぎた方は、ご自身の健康管理のために、是非、前立腺がんに関心を持ち、定期的にPSA検査を受けることが、前立腺がん対策の第1歩として大切です。

PSA検査は、1)住民検診(全国で約83%の市町村が実施;2015年度調査※)、2)人間ドック(約90%の施設が実施;2007年度調査*)、 3)一般医療機関(何らかの排尿に関する症状があり、がんが疑われる場合には、ほとんどすべての医院・病院などの医療機関で実施が可能)で受けることができます。PSA検査の対象年齢は、住民検診では50歳以上が一般的ですが、人間ドックや、排尿に関する症状があり医療機関で検査する場合には、40歳から検査を受けることをお勧めします。

※公益財団法人前立腺研究財団による調査

PSA検診の受診で前立腺がん死のリスクが低下します

 

  最近の研究結果から、PSA検診は前立腺がんが転移を有する進行がんで発見されるリスクや前立腺がんで死亡するリスクを確実に低下させることがわかりました。

 欧州の大規模研究では、13年の間に死亡率が21%下がることが報告され、スウェーデンの研究では、研究開始後14年間の経過観察で、死亡リスクが約半減することが確認されました。また、検診開始から20年ほど経過した、オーストリアの研究では、60%以上も死亡率が低下しました。

 米国では、1980年代の後半からPSA検診が普及し、現在は50歳以上の男性の4人のうち3人がPSA検査を受けているといわれています。検診の受診と適切な治療によって、米国の前立腺がん死亡率は1990年から2010年の間に45%も低下しました。

 しかし、日本では、依然として前立腺がん死亡数は減少しておらず1990年には年間死亡数が3,460人(※1)で米国とは9.4倍もの差がありましたが、2015年には11,321人(※2)と2.4倍の差にまで縮まっています。我が国においても適切な年齢から定期的にPSA検査を受ければ、進行がんや転移がんでみつかる危険性が下がり、前立腺がんで死亡するリスクが低くなることが期待されます。   (詳しい情報はこちら


※1 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より
※2「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」より

 

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PSA値が高かったときは どうしたらいいのですか?

 

 PSA検査の基準値は0.0~4.0ng/mℓ、あるいは年齢階層別PSA基準値(64歳以下:0.0~3.0ng/mℓ、65-69歳:0.0~3.5ng/mℓ、70歳以上:0.0~4.0ng/mℓ)を用います。PSA検査を受けると、約8%の方が基準値を超え“がんの疑いあり”となりますが、全員ががんであるわけではありません(がんと診断される可能性はPSA値が高いほど高く、4~10ng/mℓであれば約30%、10~20ng/mℓでは50%程度です)。PSA値が基準値を超えた場合、前立腺がんと肥大症や炎症などの良性の病気を鑑別する必要がありますので、泌尿器科専門医のいる精密検査医療機関を受診してください。精密検査では、PSAの再検査、経直腸的超音波検査(エコー検査)、直腸診などを行います。超音波検査では、前立腺の形や大きさ、前立腺内部の様子を観察し、がんを疑わせる所見が無いか調べます。直腸診は、医師が肛門から指を入れ、直腸の壁越しに前立腺に触れて診察します。前立腺の大きさや硬さ、表面の性状などの情報から、前立腺がんの疑いが無いか調べる検査です。これらの精密検査で、前立腺がんが疑われる場合には、確定診断のため前立腺針生検(はりせいけん)が必要になります。また、PSA検査では、約90%の方は基準値内に入り「検査陰性」との結果になりますが、以後もPSA検査を継続的に受けていただくことが大切です。PSA値が1.0ng/mℓ未満であれば、次回の検査は3年後、PSA値が1.0ng/mℓ~基準値上限であれば毎年の検査をお勧めします。

前立腺針生検(はりせいけん)とはどのような検査ですか?

 

精密検査の結果から、がんが疑われる場合には、前立腺針生検を行います。針生検とは、前立腺の組織標本を直接顕微鏡で観察して、悪性(がん)か良性かを判断するものです。

前立腺生検では、肛門から専用の超音波器具を挿入し、前立腺を観察しながら、細い針を刺して、通常は10~12カ所から前立腺組織を採取します。針を刺入する方法は、陰のうと肛門の間の皮膚より刺入する経会陰的生検と、直腸より刺入する経直腸的生検の2通りがあります。 麻酔は局所麻酔や腰椎麻酔などで行われ、医療機関によって、外来での日帰り検査で行う場合と、1~2泊の入院で行う場合があります。

前立腺針生検では、麻酔時の注射針を刺すときの痛みや生検時の軽い痛み(局所麻酔の場合)があります。生検によって、発熱、直腸からの出血、尿に血が混じる、精液に血が混じるなどの合併症がおこることがありますが、重い合併症は極めてまれです。

悪性であった場合には、悪性度、つまりがんの性格を調べることで、その後のより適切な治療方法の選択が可能になります。

一方で、生検を受けても前立腺肥大症や炎症と診断される方もいます。生検で良性の病気と診断された場合でも、小さい前立腺がんが見逃されていることもありますので、専門医と相談し、引き続き定期的にPSA検査を受けることをお勧めします。

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