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世界的にも認められた前立腺がん検診の重要性

 米国では、50歳以上の男性の75%が少なくとも1回はPSA検査を受けています。PSA検診の普及とその後の適切な治療によって、前立腺がんの死亡率は1990~1992年をピークに、低下傾向が続いており、2010年には1990年と比較して45%死亡率が低下しました。

 また、2014年に発表された欧州の大規模研究(ERSPC※)では、PSA検診を受けなかった人に比べて13年間で死亡率が21%低下することが確認されました。スウェーデンの研究では、14年間の経過観察により、PSA検診受診群の死亡率が約半減することがわかりました。さらに、オーストリア・チロル地方では、検診開始から20年経過し住民の約90%がPSA検診を受診して、死亡率が64%低下したと報告されています。

 一方検診は無効だと結論づけていた米国のPLCO研究の最近の再解析では、検診を受けないことになっていた人たちの90%近くが検診を受けてしまったため誤った結論を出していたと報告されました。

 日本泌尿器科学会の最新のガイドラインでは、PSA検診は、住民検診では50歳以上、人間ドックでは40歳以上の男性を受診対象としており、前立腺がん検診の最新情報・利益・不利益などについて、正しい情報提供を受けた上で受診することを推奨しています。

※European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer

 

【監修】原三信病院 名誉院長

     九州大学 名誉教授         内藤 誠二先生
【協力】群馬大学病院 泌尿器科 准教授 伊藤 一人先生

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