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「前立腺がん検診は有効」と訂正へ

(アメリカ)

米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF:United States Preventive Services Task Force)は、前立腺がん検診の有効性を認め、勧告を見直すことになりました。

2012年に「前立腺がん検診は害が多く行うべきではない:グレードD」と勧告しましたが、その後の研究や調査(「前立腺がん検診の有効性に関する対立」参照)から見直しが行われ、55歳から69歳は「医師と充分に話し合い、検診の利益と害をよく理解したうえで個別に判断すべき:グレードC」と変更されそうです。

今回の変更は前立腺がん検診の「有効性」が認められただけでなく、「害が多い」という点も見直されました。アクティブサーベイランス(定期的に検査を行い、病勢進行が確認された時点で治療を開始)が普及し、治療が不要な人への対応法が確立されたことによります。

それでも70歳以上はエビデンスがないので、「行うべきではない:グレードD」のまま変更しないようです。「70歳以上」といっても人により様々です。69歳以下と同様に「個別に判断すべき」とした方がよいのではないでしょうか。

 

ところで国立がんセンターが出している前立腺がん検診の有効性評価は、「2009年3月26日から再検討を開始しました」とされています。もう8年もたっています。いったいどうなっているのでしょうか。

(2017年4月)

詳しくお知りになりたい方は下記からどうぞ

米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF:United States Preventive Services Task Force)の推奨案(2017年)

https://screeningforprostatecancer.org/

2009年の検診を有効とする論文と検診を無効とする論文

 【検診を有効とする論文】

Schröder FH,et al.Screening and prostate-cancer mortality in a randomized European study.N Engl J Med. 2009 Mar 26;360(13):1320-8.

 【検診を無効とする論文】

Andriole GL,et al.Mortality results from a randomized prostate-cancer screening trial.N Engl J Med.2009 Mar 26;360(13):1310-9.

検診を無効」とする研究のその後の調査​​

Shoag JE, et al.Reevaluating PSA Testing Rates in the PLCO Trial.N Engl J Med. 2016 May 5;374(18):1795-6.

「検診を有効」とする研究のその後の調査​

Schröder FH,et al.Screening and prostate cancer mortality: results of the European Randomised Study of Screening for Prostate Cancer (ERSPC) at 13 years of follow-up.Lancet. 2014 Dec 6;384(9959):2027-35.

 

検診の有効性の評価(国立がんセンター)

 

科学的根拠に基づくがん検診推進のページ

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